- 相続税の申告を税理士に依頼する目安
- 自分で申告する場合のメリット・デメリット
- 自分で申告する場合の注意点や流れ
- 税理士に依頼する場合のメリット・デメリット
上記の内容を税務の実務に通算18年従事して相続税の申告・税務調査の立ち会いも経験した筆者がそのポイントを解説します。
この記事の執筆者

しょうじ
会計事務所に5回の転職で、5人の税理士のもとで通算18年勤務。そのうち3か所では、No.2として他スタッフの業務管理・指導、事務所のWEBサイト運営や集客にも従事。
相続税の申告を税理士に依頼しようと思うけど、
- どんな税理士に頼めばいいかわからない
- 税理士に依頼すると税理士費用はどれくらいかかるの?
- 効率よく楽にいい税理士を探す方法を知りたい
と思うなら、最後までお読みください。
なぜ相続専門の税理士なのか?
相続税の申告を税理士に依頼するうえで失敗しない大前提は、
相続専門の税理士を選ぶことです
じつは、相続税の申告は専門性を要します。
一般的な税理士がやる業務は、
- 法人の顧問業務
- 個人の確定申告
が主な業務になります。
体感的には7割ぐらいの税理士がこの業務を主要業務としています。つまり、ほとんど相続税の申告はやっていないんですね。
- 法人の顧問業務
- 中小企業の会計処理、決算、法人税の申告をするのが主要業務です。契約によっては毎月会社に訪問し、経営状況のアドバイスなどもします。
- 個人の確定申告
- 個人事業主の確定申告、個人が不動産や株式の譲渡などをした場合の確定申告の業務です。例年2月16日から3月15日に手続きします。
相続税の申告をやっている税理士は、「相続税専門」として業務をやっています。
相続税は、相続に特化してやらないと、知識や税務調査では対応できません。

相続専門税理士の落とし穴
相続税の申告をするなら、相続専門の税理士にすべきなんですが、「相続専門の税理士」でも次の場合には注意してください。
- 大手税理士法人の若手税理士
- 相続市場に新規参入の税理士
- 銀行紹介の税理士
大手税理士法人の若手税理士
大手の相続専門の税理士法人でも、経験不足の税理士はいます。
また、大手は、その大きな企業体制を維持するため料金が高い傾向にあることもデメリットしてあげられます。
相続市場に新規参入の税理士
では、なぜ、税理士費用の安さを求めると、実績のない税理士を選んでしまうかというと、平成27年の税制改正が関係してきます。
この改正は簡単に言うと、相続税の基礎控除額の大幅な引き下げなど、これまで相続税がかからなかった層も相続税の対象になりました。
そのため、税理士業界は「これからは相続だ」とばかりに市場に相続の実績のない税理士も多く参入してきました。
その結果、相続税の実績のない税理士は、
- そもそも相続税の申告の報酬基準があいまい
- 報酬の安さでしか受注できない
などの理由で報酬の安さをウリに受注する傾向になりました。
銀行紹介の税理士
税理士費用の相場

相続での税理士費用の相場を知る前に、まず相続税の申告の大まかな料金体系を解説します。
相続税の税理士費用の体系は、基本報酬に手間を要する分を加算する方式が多いです。
税理士費用の体系
基本報酬 + 相続人の数 や 財産の評価品目分を加算する
手間を要する評価とは、土地の評価や非上場株式の評価です。預貯金や上場株などのように評価額が明確なものは、数が多くても別途加算することはあまりありません。
具体的には、基本報酬は、相続財産全体の金額の〇%を基本報酬として、
- 相続人が1人増えると、基本報酬の〇%を加算
- 評価に手間を要する財産が1つ増えるごとに〇円加算
といった感じです。
相場としては、以下のようになります。
タイトル | タイトル |
基本報酬 | 相続財産の0.5%~1% |
相続人加算 | 相続人1人追加につき基本報酬の10%加算 |
土地の評価加算 | 土地1利用区分につき5~10万円加算 |
非上場株の評価加算 | 非上場株1銘柄につき10~20万円加算 |

例えば、1億円の相続財産があれば、基本報酬で50万円~100万円となります。
税理士費用はけっこう高額になりますが、税理士を選ぶ際に費用の安さで選ぶのは厳禁です。
税理士の選び方

そもそも法人税と相続税とは全く別物なので、相続専門の税理士に依頼しないと、
- 相続税に節税対策もできない
- 相続税の税務調査の対応が不安
ということになります。
相続税の申告を相続専門の税理士に依頼しないのは、例えれば、お腹が痛いのに、内科医ではなく、外科医のお医者さんに相談に行ってるようなものです。
ポイント
相続税の申告は相続専門の税理士に依頼する
税理士の探し方

相続の申告で相続専門の税理士がいいとはいえ、どうやって探すのかが問題ですよね。すぐに思いつく方法としては、インターネット検索や知人の紹介があります。
ただし、この二つには大きなデメリットがあります。
インターネット検索や知人の紹介のデメリット
そのデメリットとは
- あなたと相性が合わない場合に困る
- 税理士費用が言い値で決まってしまう
の二つです。
あなたと相性が合わない場合に困る
どんなにいい税理士でも相性が悪い場合は遠慮したいですよね。
でも、インターネットで検索して実際に会ったらあまり相性がよくない。そんな時面と向かって断るのは断りづらいです。
まして、知人の紹介なら、知人の顔をつぶしかねません。
税理士費用が言い値で決まってしまう
仮にいい税理士に出会っても、もう一つ問題があります。それが税理士費用です。
一人の税理士しか知らない場合、税理士費用は言い値になってしまいます。他に競合するものがない状態では競争原理が働かないので当然です。でも、あとから税理士費用が相場よりも割高だったなんて知ったら後悔しますよね。
では、どうやって探すのがよいかというと、税理士紹介サイトをつかうのがおすすめです。
税理士紹介サイトとは
税理士紹介サイトとは、一言で言うと、利用者と税理士のマッチングサイトです。
税理士紹介サイトの申請フォームで登録すると、担当者が要望をヒアリングし、あなたの希望に合う税理士を登録する税理士から選定して紹介してくれます。

税理士紹介サイトでは、通常2~3人の税理士を紹介してくれます。
なので、
- 紹介された税理士から相性の良い税理士を選べる
- 税理士費用が安くなる
というメリットがあります。
紹介された税理士から相性の良い税理士を選べる
税理士紹介サイトの紹介では、通常2~3人の税理士と面談したうえで契約する税理士を決めます。つまり、相続の実績のある2~3人の税理士から相性の合う税理士を選ぶことができます。
また、面談の後、断る税理士にはあなたが連絡する必要はなく、税理士紹介エージェントの担当者が代わりに断ってくれます。
断るストレスや、誰かの顔をつぶす心配など全くありません。
ポイント
断る際には税理士紹介サイトの担当者が断ってくれるので、相性の合う税理士を気兼ねなく選べる。
税理士費用が安くなる
税理士紹介サイトに登録している税理士は、面談は他の競合税理士がいることを知っています。そのため、税理士報酬を提示する際は、当然競合税理士を意識します。
自動的に相見積もり状態ができあがるわけなんですね。このため、税理士報酬は自動的にダンピングされ相場よりやや安めになります。
相続におすすめの税理士紹介サイト
税理士業務は7割くらいが法人顧問や個人の確定申告を対象にしていると前述しました。
相続を専門にする税理士が少ないので、相続専門の税理士を扱える税理士紹介サイトも少ないです。
税理士紹介サイトも十数社ありますが、「相続専門の税理士」を紹介しているのは、私の知る限り、税理士ドットコムと税理士紹介エージェントの2社しかありません
税理士ドットコム


税理士紹介エージェント


相続税に強い税理士を紹介できるかは、じつは税理士紹介サイトのWEBサイトを見ればすぐわかります。上の画像のように「相続税」という紹介分野が必ず記載されています。
まとめ
相続税の申告では、遺産総額が5,000万円を超えるか、不動産がある場合は、税理士に依頼するのがおすすめです。
税理士に依頼する際は、必ず「相続専門の税理士」に依頼しましょう。
また、税理士を探すには、税理士紹介サイトで探すのがおすすめです。
最後までお読みいただきありがとうございました。