- 税理士報酬が他社と比べて高い、安くなるように交渉したい
- 高いことに懐疑的になった。真意を知りたい
- 前々から不満があって納得いかないので変更したい
など税理士報酬が高いことで、不満や改善したいという要望は実務では非常に多いです。
なぜ、税理士報酬が高いのか?というと、
じつは、税理士側の視点からすれば
- 税理士サービスは時間の切り売り的側面がある
- あとから税理士報酬の値上げはしずらいので高めに設定
- 提供するサービスが増えることへの備え
ことがあげられます。
税理士からすると、その真意は契約時に価格のことを言われなかったのでスルーしているに過ぎません。
そのため、同じ税理士のクライアントで同業種同規模、ほぼ同じ契約内容で税理士報酬が違うことはザラにあります。
とはいえ、税理士報酬の判断で必要な相場や顧問契約内容は一般的にわかりづらいです。そこで、この記事では税務の実務に通算18年従事した私が、
この記事の内容
- 税理士報酬の相場、顧問契約の内容
- 税理士報酬を安くする方法
- 税理士変更で税理士報酬を見直す方法
について解説しました。
この記事の執筆者

しょうじ
会計事務所に5回の転職で、5人の税理士のもとで通算18年勤務。そのうち3か所では、No.2として他スタッフの業務管理・指導、事務所のWEBサイト運営や集客にも従事。
税理士報酬が高いから、安くしたい、税理士報酬のことで税理士への不信感が募ったので変更を考えているという方には必見の内容です
結論から言うと、税理士報酬を安くする対策は次の2つの方法しかありません。
- 契約内容を見直して不要なものをカットする
- 税理士紹介サイトを利用して税理士変更する
税理士報酬が高い理由
税理士報酬が高い理由は、
- 税理士サービスは時間の切り売り的側面がある
- あとから税理士報酬の値上げはしずらいので高めに設定
- 提供するサービスが増えることへの備え
が挙げられます。
税理士サービスは時間の切り売り的側面がある
税理士はサービス業なので、「時間の切り売り」です。時間の切り売りとは、自分の時間を提供してお金をもらうことです。
そのため、税理士1人が担当できる顧客数にも限りがあるので、適正に利益をとって営業していくには、ある程度の単価を保持する必要があります。
あとから税理士報酬の値上げはしずらいので高めに設定
例えば、税理士が会計ソフトの入力を請け負った場合など、顧客に関与した当初は、事業を立ち上げたばかりでボリュームが少なかったけど、事業の成長とともにボリュームが増えた。
ということはよくあります。多大に増えた場合は値上げも打診できますが、増え方が微妙な時もあります。
そうなると、値上げがしずらいこともあるので、当初から高めに設定しておくこともあります。
提供するサービスが増えることへの備え
税理士のサービスでは、事業の成長に伴い、当初想定していなかった業務が増えることも多々あります。例えば、融資を受ける時の手続きやその後の資金繰りのサポートです。
融資を受けると、定期的に金融機関に試算表などの提出が発生します。そうすると、より正確にするため精査の必要が生じます。また、資金繰り表の提出を求められることもあるので、そのたびにサポートすることもあります。
手間は増えるのですが、個別請求するほどの業務量ではないため、なかなか請求しづらい。そんなことも想定すると、契約時点である程度の業務過多を想定して税理士報酬を設定していたりします。
税理士報酬の相場
「税理士報酬が高いのでは?」そう感じたら、まずは、相場を確認しましょう。
比較するうえでは、次の二つの基準をもとに比較します。
- 売上などの事業規模
- 関与度合いや作業内容
売上などの事業規模
税理士報酬は、ほぼ以下のように売上高に応じて金額が設定されています。

関与度合いや作業内容
一般的に顧問契約だと税理士が定期訪問することになります。定期訪問が毎月なのか、四半期に1回なのか、半期に1回なのかといった関与度合いによっても税理士報酬は変わってきます。
また、記帳代行(会計ソフトへの入力)を請け負う場合、その分作業が増えるので別途費用が加算されます。

じつは、売上高などの事業規模、関与度合いや作業内容をもとに相場を調べると、相場といえど、かなり金額に幅が出てしまいます。
そこで、税理士報酬相場の基準となる金額をざっくりお伝えすると、
ポイント
年間売上が1,000万円から5,000万円までの事業規模で、税理士が毎月訪問であれば、記帳代行を含めても
税理士報酬は月額30,000円
が基準になります。
ちなみに、登録税理士を評価していることで有名な税理士紹介サイト、「税理士紹介エージェント」では、公式サイトで税理士報酬の相場を公開していました。
それによると、法人の場合で年間売上が1,000万円から5,000万円までなら、月額顧問料は15,000円から30,000円前後となっているので、大まかな相場勘としては一致していることがわかると思います。

それ以上払っているのであれば、それはちょっと高いかもしれません。
税理士報酬は下落傾向にある
前述した基準となる税理士報酬月額30,000円ですが、これはあくまで基準で、同等のサービス内容でこれより安いことも少なくありません。
というのも、じつは、税理士報酬は、一昔前に比べ下落傾向にあります。
なぜかというと、
- 会計ソフトの普及で自計化が進んだ
- 格安報酬の税理士などの存在
- 税理士紹介サイトなどの認知度が上がった
というのが主な理由です。
会計ソフトの普及で自計化が進んだ
最近の会計ソフトの進歩は目覚ましく、ほぼ簿記知識がなくても入力可能です。しかも、クレジットカードや銀行口座との連携により、登録しておけばデータを取り込み自動で仕訳の生成が可能です。
そのため、記帳代行業務は一昔前より減って、その分の税理士報酬が削減されています。
格安報酬の税理士の存在
税理士には定年がなく、長く税理士業務を続ける人も多くいます。そのうえ、税理士登録者は毎年一定数いるので、税理士がへることはありません。一方で起業する人、会社を設立する人は、近年あまり増えているわけではなく、会社と税理士の需給バランスはとれておらず、需要過多にあります。
そこで、顧客の取り込みの一環として、新規開業の税理士には、格安報酬の税理士なども出現しました。
この影響を受けて、全体的な税理士報酬の単価も低下傾向にあります。
税理士紹介サイトなどの認知度が上がった
税理士紹介サイトはここ10年で大幅に普及しました。一般的に税理士紹介サイトでは、ユーザーからの申し込みに対して、1回の面談で2~3人の税理士を候補として紹介します。税理士側もそのことは承知なので、受注したければ他者を想定して税理士報酬を提示します。
互いの税理士が意識しあう中では相見積もり状態になるので、税理士報酬は相場より下落します。
そこにきて、税理士紹介サイトが大幅に普及し、今や十数社存在するので、一定の市場への影響を与えることになり、一昔前の税理士報酬より低下する流れに拍車をかける結果となっています。
税理士報酬を安くする方法
税理士報酬を安くする方法は大別すると、以下2つです。
- 契約内容を見直す
- 税理士変更をする
いきなり極端な意見ではあるのですが、詳細を解説していきます。
契約内容を見直す
税理士報酬を安くするには、月並みですが契約内容を見直すことが第1歩です。
ただし、やってはいけない交渉のやり方があります。
それは、
契約内容を見直さず、単に「安くしてほしい」と交渉することです。
当たり前ですが、もし、それで減額すれば、「じゃあこれまでの税理士報酬は何だったの?」となるので、税理士側は応じにくいです。
では、どうするかというと、顧問契約の定期訪問頻度を見直します。
税理士の顧問契約は、決算・税務申告のほかに毎月の定期訪問というのがあります。面談して経営成績や財務内容の説明、税務の情報提供などを行います。
でも、業種によっては、毎月である必要がないこともあります。
- 3ヶ月スパンでないと正しい損益が反映されない
- 創業後間もないので売上がそれほど上がっていない
場合などです。
そんな時は、定期訪問のスパンを四半期に1回、半期に1回にすることで、月額の顧問料を削減する余地があります。
税理士変更をする
- 同業他社と比べて圧倒的に税理士報酬が高い
- 相場とかけ離れている
- 税理士報酬の割にサービスの質が低い
など税理士報酬が高いことで、税理士が信用できなくなったなどの場合は、報酬削減の交渉をするより税理士変更を考えた方が得策です。
そもそも信頼関係がなくなっていては、仮に報酬削減できたとしても、遺恨を残すとあまりいい関係性は保てません。
税理士変更をするなら早いに越したことはありません。それは、次の2つのことが理由です。
- 毎月の差額分の損失が拡大する
- いい税理士と契約する機会損失のリスク
- 毎月の差額分の損失が拡大
- 顧問契約の場合の税理士報酬は固定費なので毎月定額で支払いが発生します。税理士報酬が相場より高い場合、見直しをしないと、その相場との差額分は絶えず毎月課金されているわけです。放っておくと損失がどんどん拡大してしまいます。
- いい税理士と契約する機会損失
- 税理士紹介サイトは紹介ビジネスなので、紹介した税理士とユーザーが成約することで収益が発生します。より多くの成約を成就するためには必然的に評判の良い税理士を優先して紹介するので、いい税理士ほど、すぐに埋まっていきます。税理士変更を先延ばしにするデメリットは、このいい税理士と契約する機会を逃すことが最大の損失です。
税理士変更の実態
税理士変更というと少し抵抗があるかもしれません。ところが近年は、サービスや価格など不満があれば、我慢せずに税理士変更するという流れに変わってきています。実際どれくらいの人が税理士契約を解約しているかは気になるところですよね?
税理士向けの会計ソフトを販売するミロク情報サービスのアンケートでは、なんと事業者のうち、実に約3割が税理士契約の解約をしたことがあるという回答でした。

また、税理士契約の解約のうち11.1%は価格を理由に解約に至っています。こう見ると、税理士報酬が高いことでの税理士変更はそんなに珍しくないことがわかりますよね。

税理士変更の具体的なやり方
税理士変更をするなら税理士紹介サイトを利用するのがおすすめです。
税理士紹介サイトとは

税理士紹介サイトとは‥ユーザーと税理士をマッチングするサービスです。ユーザーは希望の条件を伝えると、登録税理士の中からその希望に沿う税理士を紹介してもらえます。
税理士紹介サイトでは、通常1回の問い合わせで、面談する税理士を候補として複数人選定してくれます。この中から面談によって決めるわけですが、税理士も競合の存在は認識しているので、税理士報酬は競合を意識して提示します。
つまり、自動的に相見積もりの状態になっているので、税理士報酬が低減される傾向にあります。
税理士紹介サイト各社では、以下のように税理士報酬の見直し事例が豊富です。今や税理士報酬が高ければ、税理士紹介サイトで見積りをとって税理士変更をするというのは、かなり認知されてきました。
税理士ドットコムの見直し事例

税理士紹介エージェントの見直し事例

税理士紹介サイトの利用の流れ
税理士紹介サイトの登録から税理士と契約までは以下の流れになります。
WEBサイトでの登録
入力フォームにあなたの情報、事業の内容などを入力します。

担当者からのヒアリング
登録フォームに入力すると、1~2営業日以内ほどで、担当者から連絡が来ます。希望する税理士や予算などのヒアリングに答えます。

税理士の選定
ヒアリングの内容に応じて、担当者が税理士を選定し、連絡してくれます。通常2~3人の候補を紹介してくれ、面談日程なども間に立って調整してくれます。

税理士との面談
紹介された税理士と面談します。多くの税理士紹介サイトではWEB面談を採用しています。

断る場合
面談して、合わない場合など契約しない時は、担当者にその旨を伝えると、担当者の方から税理士に断ってくれます。

成約の場合
成約の場合、税理士と直接契約を結びます。
紹介料は税理士が負担することになります。

おすすめの税理士紹介サイト
税理士変更で失敗しないためには、複数の税理士と話してコミュニケーション力を見極めるのが大事です。
とはいえ、やみくもに探してもいい税理士には出会えません。できるだけ、質の良い税理士に出会うためには、
- 登録税理士を審査している
- 登録税理士数が最も多い
を基準に税理士紹介サイトを選びましょう。
具体的には、業界で唯一登録税理士を審査している税理士紹介エージェント、登録税理士数、実績ともに業界ナンバーワンの税理士ドットコムの2社を併用するのがおすすめです。


もっと、くわしい税理士変更の流れや手続きについてはこちらの記事で解説しています。
税理士変更のタイミングと失敗しないための変更の流れ5つのステップ
税理士変更のタイミングと失敗しないための変更の流れ5つのステップ
まとめ
「税理士報酬が高い」ことは、
今や、税理士契約の解約につながる事象です。
税理士報酬の相場の基準となる金額をざっくりお伝えすると、
ポイント
年間売上が1,000万円から5,000万円までの事業規模で、税理士が毎月訪問であれば、記帳代行を含めても
顧問料は月額30,000円
が基準になります。
それ以上の税理士報酬を払っているのであれば、それはちょっと高いかもしれません。
税理士報酬の見直しで税理士紹介サイトを利用するなら、こちらの記事も合わせてご覧ください。
税理士変更で失敗しないための税理士の探し方
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