
税理士変更をしようと思ったら、「できるだけ早くしたい」と思いますよね。でも失敗しないためには、はやる気持ちを抑えて冷静に考えてください。
じつは、税理士変更はタイミングを間違えると、最悪の場合
- 決算が組めず税務申告が遅れる。
- 税務調査で立ち会う税理士がいない
といった事態につながることもあります。
この記事では、税理士変更のベストなタイミングや税理士変更の流れについて、税務の実務に通算18年従事した私の経験をもとに解説しています。
この記事の執筆者

しょうじ
会計事務所に5回の転職で、5人の税理士のもとで通算18年勤務。そのうち3か所では、No.2として他スタッフの業務管理・指導、事務所のWEBサイト運営や集客にも従事。
税理士変更での税理士の探し方も解説していますので、これから税理士変更しようと思う人なら必見の内容です。
これから税理士変更をしようとタイミングを見極めたい人には必見の内容です。
結論
税理士変更のタイミングは決算日後3ヶ月以降できるだけ早い時期にする。
その際、以下の5つのステップで進めます
- 現契約税理士との契約解除の内容を確認する
- 解約前に次の税理士を探す
- 税理士契約の変更日を設定する
- 新しい税理士へ渡すための書類を確認する
- 穏便な断り方で契約解除する
税理士変更のタイミング

税理士変更のタイミングは、
ポイント
決算日後3ヶ月以降でできるだけ早いタイミングです。
なぜ、決算日後3ヶ月以降でできるだけ早い方がいいか?というと、
まず法人だと、決算日後2ヶ月以内に税務申告があります。
個人事業であれば、決算日後およそ3ヶ月(確定申告期限:翌年の3月15日)で確定申告があります。
この決算前後で税理士変更すると、
- 決算が遅れる
- 税務申告書の提出、税金の納付が遅れる
- ペナルティが課される
ことにつながります。
そのため、決算日後3ヶ月は経過する方が無難です。

一方、新しく関与する税理士としては、会社のことをよく知らないので、決算まで、できるだけ期間があった方がよいです。
その間に、事業の状況、財務状況、経理の状況などを把握でき、税務会計処理によるミスを減らすことができるからなんですね。
その観点も踏まえると、決算日後3ヶ月以降ではあるものの、できるだけ早いほうがベストということになります。
税理士変更の流れ、5つのステップ

税理士変更の流れは、以下、5つのステップで進めます。
- 現契約税理士との契約解除の内容を確認する
- 解約前に次の税理士を探す
- 税理士契約の変更日を設定する
- 新しい税理士へ渡すための書類を確認する
- 穏便な断り方で契約解除する
注意すべきポイントを深掘りしていきます。
現契約税理士との契約解除の内容を確認する
税理士と顧問契約する場合、顧問料も月額なので、大半は月単位の契約になっていると思います。
ところが、中には事業年度単位の契約で、報酬の支払いが月額で区切っているものもあります。つまり、事業年度が終わって税務申告までは契約が継続するという場合です。
ですから、既存の契約がどうなっているかは事前に確認しておきましょう。
解約前に次の税理士を探す
意外かもしれませんが、解約をする前に次の税理士を探しておきます。
次の税理士が決まらずに税理士契約を解約してしまうと、
- 決算を迎えた場合、決算が組めず税務申告・納税が遅れる
- 税務調査が来た場合、立ち会い税理士なしの対応になってしまう
というリスクがあります。
ですから、現契約の税理士との契約を解約するときは、次の税理士が決まってからにしましょう。
後の手続きや精神的な負担なども考慮すると、税理士は早期に探すのが得策です。
自分でインターネット検索で探したり、友人・知人の紹介などでは、探す範囲が狭いうえに、労力や時間ばかりがかかってしまいます。
できることなら、税理士紹介サイトを利用すると便利です。
おすすの税理士紹介サイトはこちらの記事をどうぞ。
おすすめの税理士紹介サイト【2022年最新ランキング】主要5社を徹底比較!
税理士契約の変更日を設定する
現契約税理士との契約と新しい税理士との契約は、税理士に相談の上、
変更日をきっちり日付で設定します。
変更日をきっちり日付で設定するのは重要です。
例えば、消費税には、「簡易課税制度」という制度があります。簡単にいうと、小規模事業者は簡易な計算方式で消費税の申告書を作成できるという制度です。(制度の詳しい説明は割愛します。)
この制度の届出期限は、「制度を適用したい事業年度の開始の日の前日」です。
事前届出制なので、忘れると取り返しがつきません。
税務上は、この手の制約がけっこうあるので、とくに税理士変更では、現契約の税理士と新しい税理士との間で責任の所在をはっきりしないとトラブルのもとになります。

新しい税理士へ渡すための書類を確認する
新しく顧問になる税理士に用意すべき書類は以下のものです。
税理士変更で用意する書類
- 3期分の確定申告書(法人・個人)の控え
- 3期分の決算書・勘定科目内訳明細書
- 3期分の総勘定元帳
- 税務署に提出した各種届出書の控え
税理士によっては、他に届出関係も必要なこともあるので、手元に控えがない場合は現契約の税理士に確認してみましょう。

穏便な断り方で契約解除する
契約解除の際には、仮に不満があってもストレートに不満をぶつけるのはおすすめしません。
というのは、不満をぶつけたところで、お互い感情的になって、いいことはないからです。
なぜ、穏便に進める必要があるのか?というと、税務調査が関係します。
と言っても、税理士変更をしたから、税務調査が来るという話ではありません。
「税理士変更をすると税務調査が来る」というのは、都市伝説ようなもので、実際は何の根拠もありません。
税理士変更と税務調査についてはこちらの記事でくわしく解説しています。
税理士変更で税務調査がくる2つの原因
税務調査では、一般的に3期程度遡って、調査します。その際、問題点となった事象の
- 当初の税務判断の状況
- 会計処理の方法や理由
など、新しい税理士側ではわからず確認が必要なケースがあるからです。これが、ケンカ別れになったりしていると、協力的に対応してもらえず、けっきょく損するのはあなたになります。
では、どんな理由で断ればいいかというと、以下の文例が良く使われます。
- 友人が税理士として独立して、以前から顧問税理士にする約束をしていた。
- 甥や姪が税理士になり顧問税理士にするよう頼まれた。
- 取引先との提携で、取引先指定の税理士との契約を求められた。

私が実務でよく聞いた断る理由も上記の3つが最も多かったです。
税理士変更での断り方については、こちらの記事でくわしく解説しています。
税理士変更の断り方で、こんなまちがいしていませんか?
まとめ

税理士変更のタイミングは決算日後3ヶ月以降できるだけ早い時期にしましょう。
その際、以下の5つのステップで進めると失敗せずにスムーズに進めます。
- 現契約税理士との契約解除の内容を確認する
- 解約前に次の税理士を探す
- 税理士契約の変更日を設定する
- 新しい税理士へ渡すための書類を確認する
- 穏便な断り方で契約解除する
最後までお読みいただきありがとうございました